« 指輪 7-6 | トップページ | 指輪 8-1 »

2019年3月 4日 (月)

指輪 7-7

一気に言って振り返った美希は、ちょっと頬が赤かった。

「バイクと指輪、壊れてしまった物を見て、壊れた理由を思い出して、今の自分も思い出した。徹君が、思い出させてくれたんだよね」

「オレが?」

夢から覚めた時には記憶が戻っていたというから、そういう事かもしれないが、オレ自身はなにもしていない。

「徹君がバイクだったり指輪だったり、私の印象に残っていたものを呼び水として見せてくれたから夢に見たんだと思ってるよ。だからあの、ありがとう」

落ち着いた声で礼を言う姿が年相応でしみじみ落ち着く。

「でも徹君、あの時何て言ったの?」

「え?」

「夢の中で指輪をはめてくれながら」

向かって右手の薬指をオレの方にかざして言っているが、それこそオレに聞かれても困る。

他人の夢の中の台詞にまで責任は持てない。

でも

「多分、それは美希が子供の頃にオレによく言っていた事と同じじゃないのか?」

男が女性に指輪を贈りながら言う事といえば、一つだろう。

実際、指輪を渡した時は、子供相手と同様ではあっても、はっきりとプロポーズした訳だから、夢に出てきてもおかしくない。

ただ、美希がオレにプロポーズしていた事を覚えているかどうかは、分からないが。

期待薄で笑ってみせたら、ちょっと考えて、納得したように言った。

「そうかそうかもね」



前頁         次頁

« 指輪 7-6 | トップページ | 指輪 8-1 »

指輪(小説)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 指輪 7-7:

« 指輪 7-6 | トップページ | 指輪 8-1 »