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2019年2月25日 (月)

指輪 7-6

でも、いつまでたっても徹君には会えなくて、二人でゆっくり歩くだけ。

『徹君はどこ?』って聞こうと思った時に、急に金属のこすれる甲高い音とすぐに大きな衝撃音がして、目の前に壊れたバイクと、足元に指輪が転がってきたのが見えた。

それも怖かったんだけど、一番怖かったのは…徹君…徹君が吹っ飛んでいったのを思い出したこと。

事故にあった時に、本当に私が見たのかはよく分からない。

でも、強烈に印象に残ってて、私が頼んだことが原因でいなくなってしまうって感じたことがどうしようもなく怖くて。

子供のころから当たり前のように重ねてきた時間が、私の意思を無視して終わってしまったかもしれないと思った怖さは、どう言ったら伝わるかな。

無くしたくなくて、まだ一緒に過ごしたくて・・・で、思わず『徹君!』って叫んだら、隣から『何?』って返事が返ってきて、その知らないお兄さんが徹君だったって事が分かったの。

ずっとそばにいたことを理解していなかった私なのに、徹君は優しい顔で笑ってた。

私が言い出したから事故にあったこと、指輪が壊れちゃったこと、そして知らないお兄さん扱いしたことを謝ろうとしたんだけど、いっぺんに色々ありすぎて私が混乱してることは徹君は気にしてないみたいで、指輪あ、新しい方ね、を私の指にはめて一言二言何か言うと、『それじゃ、後で』ってどこかに行っちゃった。

そこで、目が覚めたの」



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