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2018年11月 5日 (月)

指輪 5-30

封書や二つ折りになっているなどで中身が見えない時、宛名の「O」の字を顔にして、その表情で良い情報か悪い情報かをオレに知らせて美希は楽しんでいた。

今回は誕生パーティーの誘いだそうだから、楽しい情報のスマイリー。

そして、渡す自分の心情も自分の苗字の方で表してくれる。

明るく「来てね」とウインクしている感じだろうか。

テストの範囲表の時はムンクの叫びだったなあと、思い出すと笑いが止まらなかった。

いきなり笑い出したオレにびっくりしている女性陣に、自分で書いておいて美希はそっち側かよと心の中で突っ込みを入れる。

「人の名前で遊ぶんですよねぇ」

少し嫌みっぽく美希を見ながら言ったら、ニヤッと笑って返してきたが、その表情はもう、中身の年齢はどうでもいいやと思えるしぐさだった。

 

結局美希は、オレが食事を抜けば心配して叱るし、落ち込めば元気付けようと気を使ってくれるし、なんだかんだでおねだり上手だし、泣けば頭を撫でて慰めてくれる。

今日も、一年前も、十年前も、それは同じだった。

そして、今日も、一年後も、十年後も、瞳を輝かせてはしゃぎ、笑っている美希が オレの目の前にいてくれれば、 後は…。

後はどうにでもなる事だ。



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