« ファーストダンス 1 | トップページ | ファーストダンス 3 »

2012年10月23日 (火)

ファーストダンス 2

ファーストダンス

The "first dance" of a married couple is a popular element at many post-wedding celebrations in modern European and American traditions. Exactly like an old-fashioned ball, the idea is that the married couple, as the guests of honor at a dance, open the dancing, not that they perform a choreographed duet for spectators. First dances, because they are intended to open the dance for all guests, are inappropriate and therefore omitted when there is no other dancing planned for the guests.

In the past, the first wedding dance was commonly a waltz. In modern times ballroom dancing is no longer a widespread skill, and rehearsing the "first dance" has become a lucrative business for dance studios and independent dance instructors. Today more popular dances include the foxtrot, merengue, and swing. Alternatively, many couples just do a "slow dance". More recently, some couples have been known to introduce a surprise into their dance to shock and humour their audience e.g. by dancing to a song in a mock disco style.

wikipediaより

 

何度読み直しても内容が変わる訳ではない。

日本のウエディング関連だけでは飽き足らず、英語版wikiまで調べたところで、どれも同じ様な内容だ。まず初めに来るのは「新郎新婦による”ファーストダンス”は現代のヨーロッパ及びアメリカにおいて、結婚披露宴の一般的な余興である」という事。まあ、誰でも参加可が原則であるらしいが、現代日本でそんな事言っても一緒に踊ってくれる人達がいるとも思えないからそこは無視。そしてもはや社交ダンスがたしなみでない以上、ダンススタジオの重要な収入源であり、現代風に色々とアレンジされてきて、だからこそ、どこでどのように踊るのかは新郎新婦の考え方如何、という事、だから、余計に・・・。

「参った…」

どれだけため息と共に呟いても、やはり文面が変わる訳ではない。

ホテルでの打ち合わせの時、披露宴の演出としてやりたいと美希から聞かされた時は耳を疑った。

そりゃ、20年も一緒に過ごしていればファーストダンスの何たるかは自然に耳に入る。母親文化の影響で憧れるのも理解は出来る。

「でもなぁ…」

日本での認知度は低い。ダンス教室で知り合って結婚する二人ならありだとは思うが、はっきり言ってオレはフォークダンスと盆踊りしか踊った事はないぞ。

脇にあったペットボトルにおもむろに口をつけて、すっかりぬるく、炭酸水がただの水になってしまっている事に気付く。

どれだけモニターを眺めていたのか我ながら呆れつつ、マウスを動かしてブラウザを閉じた所でやはり検索ページが無くなる訳ではないし、仮にウイルスか何かで該当項目が全て消えても、脈々と受け継がれてきた文化は事実として不動の物だ。

そう言えば、いつもなら睨み付けてくる太郎さんが、昨日ばかりは軽く笑みを浮かべて横を通り過ぎて行った。

娘の発言にあたふたしている婚約相手に少し溜飲が下りたのか。

自分も馴染みのないダンスを踊らされたはずだが、あちらの風習をあちらでやったのだから訳が違う…のは分かりきった口角の上がり方。

詰まる所は、ざまぁみろって感じか。

結婚式は花嫁の物だ。黙ってその夢を叶えてあげるのが、夫になる者の最初の務め。

そうアドバイスしてくれたのは兄貴だったか悪友だったか。

キャンドルサービスやケーキカットならある物と諦めていた。

直近出席した披露宴では新郎新婦がケーキカットの後ケーキの食べさせ合いをしていたので、その延長上の一瞬で終わる事なら場を盛り上げる為の演出と腹もくくれる。

が、それらを省いてでもファーストダンスがいいと言う。

これはつまり、オレが首を横に振るという事は結婚披露宴をしないと言い出すに等しい事なのだろう。

そしてそれは幼少の頃からの乙女の夢を踏みにじる鬼畜に成り下がり、全世界の女性を敵に回すという事だ。

せめて男でこちらの言い分を聞いてくれそうな人。

兄貴や友人は前述した通りの事しか言わないだろう。

美希の父親の太郎さんは、頭を抱えているオレの姿を見るのが目下の楽しみなのだから娘を諫める訳がない。

オレの親父は実の息子より義理の娘、こちらの言い分は露とも聞かずに美希の味方だ。

はっきり言って、オレの事は美希と親類・義理の親娘になるための中継地点位にしか思っていない。これが原因で破談にでもなったら勘当どころか真面目に命が危ない。

八方塞がり、四面楚歌、前に虎がいて後ろには狼の逃げ場無し。

「マリッジブルーになる人の気持ちが分かる気がする…」

机に突っ伏しながらつぶやくと、後ろから声が聞こえた。

「結婚を思い悩んでるの?」

びっくりして跳ね起きた拍子にペットボトルが床に落ちる。蓋が閉まっているので中身がこぼれる事はなかったが、半分程残っているそれは結構な勢いでオレの爪先を直撃した。



前ページ         次ページ

« ファーストダンス 1 | トップページ | ファーストダンス 3 »

ファーストダンス(小説)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ファーストダンス 2:

« ファーストダンス 1 | トップページ | ファーストダンス 3 »